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ゲノム診療科

ゲノム診療外来

当院は、がんゲノム医療連携病院として厚生労働省から認定されています。がんゲノム医療中核拠点病院である岡山大学と連携し、「がん遺伝子パネル検査」を行っています。
私たちの身体は約37兆個の細胞からできています。その細胞および身体の設計図が遺伝子で、遺伝子と遺伝情報の全体を「ゲノム」といいます。この遺伝子が正常に機能しなくなる遺伝子変異の結果、異常なタンパク質(分子)が作られ、がん細胞が発生し、増殖していきます。近年の医学の進歩に伴い、がんの原因となる遺伝子変異が次々と明らかになっており、そこで生じた異常な分子を標的とし、がん細胞の増殖を抑える分子標的薬もどんどん開発されています。
このゲノム情報に基づく治療としてすでに、肺がん、乳がんなどで、少数の遺伝子を調べる「コンパニオン診断」が行われ、分子標的薬により著明な効果が得られた患者さんも数多くいらっしゃいます。それを発展させたものが、「がん遺伝子パネル検査」です。手術などで採取したがん組織のゲノム情報を大量に読み取る「次世代シークエンサー」という装置により、がんの遺伝子を網羅的に調べます。そして乳がんであっても大腸がんの薬を使うというように、がん種の垣根を越えて原因となっている遺伝子変異に応じた治療薬を選択します。また、そこで得られた知見は「がんゲノム情報管理センター」と呼ばれる国の機関に集積され、今後の研究に役立てられます。
先進的な取り組みであることから、「がん遺伝子パネル検査」が行える病院は、現在、厚生労働省から認可された全国243施設(2022年5月現在)に限られます。適応は標準治療を行った固形がんや、標準治療が確立されていない原発不明がん、希少がんなどで、全身状態や臓器機能が保たれている患者さんです。
これまでの治療にはない新しい選択肢を得る方法として、「がん遺伝子パネル検査」が果たす役割は大きいでしょう。当院では患者相談・サポート室が窓口です。いつでもご相談ください。

遺伝相談外来

 当院では、ゲノム医療の進歩により遺伝に関わる悩みや不安を持つ方が増えると考え、2017年7月から臨床遺伝専門医である吉野直樹医師の遺伝相談外来を開設しました。今まで吉野医師は乳がんや出生前診断のみならず、他のがん腫(家族性大腸ポリポージス、遺伝性非腫瘍性大腸癌)や、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、網膜色素変性症、色覚異常、遺伝性難聴、臍帯ヘルニア、22q11.2欠失症候群、骨異形成症、フェニルケトン尿症、MEN1、奇形症候群、染色体異常など内科、小児科にかかわらずほぼすべての診療科で、数多くの遺伝性疾患に対するカウンセリングを行ってきた実績があります。小児科の藤脇建久医師が、臨床遺伝専門医を取得し、毎週カウンセリングが行えるようになり、2022年から当院でNIPTが行えるようになりました。
遺伝性疾患では、複数の疾患が発症することがあり、血縁者にも同様の症状が発生しうるという特徴があります。最も有名なものが、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群です。生まれながらにしてがんになりやすい体質を持っていることになります。また、遺伝情報は生涯変わることがありません。近年、日々の診療の中で、がんの治療選択のために遺伝性腫瘍に関連した検査を受けることがあります。「結果をどう受け止めいいのかわからない」等遺伝に関わる悩みや不安、疑問などを持たれている方々が多いと思います。遺伝相談外来では、まず科学的根拠に基づく正確な医学的情報を分かりやすく説明した上で、十分にお話をうかがいながら、自らの力で医療技術や医学情報を利用して問題を解決して行けるよう遺伝カウンセリングを行います。
 遺伝性疾患に関してのご質問や受診のご希望がある方は、ご本人または担当の医師 から、以下にご連絡ください。遺伝性素因があることを知ることにより、非常に重い課題を抱えられることになるかもしれません。当院では、カウンセリングを受けられた方が適切に事実を受け止められ、その後のよりよい生活につなげられるように、一緒に考えていきたいと思っています。

外来担当

【カウンセリング担当】
吉野 直樹 医師(臨床遺伝専門医)・・・第1木曜日
藤脇 建久 医師(臨床遺伝専門医)
曳野  肇 医師(遺伝性腫瘍専門医)
竹下 美保 認定遺伝カウンセラー®・・・第2,4木曜日

【開催日時】
毎週木曜日の午後1時~3時(1枠1時間)

【カウンセリング内容】
遺伝性疾患全般 (遺伝性腫瘍も含む)
※個人情報には細心の注意を払って行います。

【費用】
初回遺伝カウンセリング料(自費)5,500円(税込)
2回目以降遺伝カウンセリング料(自費)4,400円(税込)
※別途検査費用が発生する場合があります。

お問い合わせ

松江赤十字病院ゲノム診療科
電話番号:0852-24-2111(代表)
電話問い合わせは、平日の午前8時20分〜16時50分

診療実績(2024年1月現在)

がん遺伝子パネル検査

年度
実施件数
2020
5
2021
12
2022
17
2023
16
遺伝カウンセリング
年度
出生前診断
先天性疾患
遺伝性腫瘍
延べ人数
新規
2018
6
-
9
15
15
2019
4
2
7
13
13
2020
6
10
2
18
18
2021
6
7
6
21
19
2022
16
16
9
71
41
2023
36
6
5
85
47
NIPT(新型出生前診断) ※2022年11月開始
年度
実施件数
2022
15
2023
33

スタッフ紹介

ゲノム診療科部 部長 兼 乳腺外科部 部長  

曳野 肇(ひきの はじめ)

1987年 自治医科大学卒

<資格等>
医学博士(自治医科大学)
日本外科学会認定外科専門医、指導医、認定医
日本乳癌学会認定乳腺専門医、指導医、認定医
日本遺伝性腫瘍学会認定遺伝性腫瘍専門医
日本乳癌検診学会評議員
日本乳癌学会評議員
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本乳がん検診精度管理中央機構検診マンモグラフィ読影医師
島根県環境保健公社マンモグラフィ読影委員会 委員
 
<所属学会>
日本外科学会
日本乳癌学会
日本乳癌検診学会
日本がん治療認定医機構
日本人類遺伝学会
日本遺伝性腫瘍学会

第二小児科部 部長 兼 ゲノム診療科 医師

藤脇 建久(ふじわき たけひさ)

1987年 島根医科大学卒

<資格等>
日本小児科学会認定小児科専門医
日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医

<所属学会>
日本小児科学会
日本遺伝カウンセリング学会
日本先天代謝異常学会
日本医用マススペクトル学会
 
<専門分野>
先天代謝異常症
 
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