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呼吸器外科

松江赤十字病院・呼吸器外科

呼吸器外科の内容

呼吸器外科では肺癌をはじめ、縦隔腫瘍、転移性肺腫瘍、気胸、膿胸、胸部外傷、手掌多汗症など様々な疾患に対して手術を中心とした診療をしております。
 
肺癌では腫瘍の大きさや進展の具合、さらに呼吸機能、年齢により切除範囲を決定します。悪性疾患に対してできる限り早い時期に手術が行えるように努めております。
 
当科では、肺癌を含めて基本的に胸腔鏡を使用した低侵襲手術を行っております。疾患や腫瘍の大きさ、進展の程度、リンパ節転移の状態などで開胸手術や胸骨正中切開を行うこともあります。肺の一部を切除する手術や気胸、膿胸などの手術は1時間程度で終わります。肺癌に対する標準治療は肺葉切除とリンパ節郭清術ですが、通常2~3時間程度で終わります(リンパ節転移を伴う場合や拡大手術ではさらに時間がかかります)。
 
手術風景
胸腔鏡の傷
心臓外科との合同手術
術後はその日のうちにお茶を飲んでもらい、翌日には食事が始まり一般病棟に移ります。2日目には胸の管(ドレーン)が抜け、3日目にはシャワーが可能です。術後1週間で元気に歩いて退院できます。肺の部分切除や気胸などでは、術後4~5日で退院が可能です。退院後は仕事やゴルフなど、今まで通りの社会生活に戻ることが可能です。80代の方でも今まで通り畑仕事や散歩ができます。
 
   呼吸器内科との合同カンファレンス
肺癌は高齢者に多く、様々な合併症をお持ちの患者様もみえます。その患者様に対しても手術ができるよう、呼吸器内科、循環器内科、リハビリテーション科、糖尿病内科、口腔外科、麻酔科など複数の診療科の専門スタッフと協力して合併症の評価、治療を行い、早期に退院できるように努めております。
 
退院後は特に肺癌の場合、定期的に外来で画像検査と血液検査を行い、再発がないかをチェックします。再発が疑われる場合は速やかに精密検査を行い、治療が必要かどうかを調べます。再発治療は外科治療、薬物治療、放射線治療があります。患者さまの状態に応じて選択します。再発による痛みがあれば、飲み薬だけではなく放射線で治療(緩和照射)することも可能です。呼吸器内科、放射線治療科とも連携を取り、患者さまと相談して最善の治療を選択します。
 
 

手掌多汗症

     交感神経の焼灼遮断
手掌多汗症はまだ認知度が低い疾患の一つですが、日常生活に支障をきたすことがあります。具体的には授業や仕事で紙が濡れる、楽器が濡れる、スポーツでラケットが吹っ飛ぶ、フォークダンスなどで異性と手を繋げないなどです。本人にしかわからないコンプレックスがあり、悩みは切実です。手掌発汗の程度により、湿る程度(グレード1)、水滴ができる(グレード2)、水滴が滴り落ちる(グレード3)の3つに分けられます。一般的にグレード2およびグレード3の方が手術適応とされます。5mmのカメラを使用して胸腔鏡下胸部交感神経焼灼遮断術を施行しています。一般的には中学生以上の方を手術の対象としています。1泊2日の入院が基本です。手術による代償性発汗という副作用があります。この副作用で悩む方もみえます。外来でよく相談をして、代償性発汗を許容していただける方は手術が可能です。どうぞご相談ください。
手掌多汗症
手掌発汗過多(術前)
手掌多汗症
手掌発汗停止(術後)

外傷に対するMatrix RIBプレートを用いた肋骨整復

胸部CT
肋骨整復

胸壁悪性腫瘍に対する胸壁切除再建

胸部CT
PET
パッチによる胸壁再建

難治性気胸に対するECMO装着下の手術

胸部レントゲン
手術室風景
術中写真
循環器内科,集中治療科,救急総合診療科,麻酔科,臨床工学技士が協力してECMO装着が行われた

手術症例

手術件数は年間110件前後で、そのうち約75%が胸腔鏡手術です。
外来受診時から退院後の外来通院まで、患者さまに寄り添う医療を心掛けております。また患者さまが話しかけやすい診療科を目指しております。どうぞ宜しくお願いします。
 

業績(2020年以降の筆頭論文)

1.三和 健、中西敦之、宮本竜弥、宇賀田 圭、足立一真、松田高志
  パフォーマンスステータス良好な知的障害者の膿胸の2例
  胸部外科 78巻2号150-154, 2025

2. 三和 健、中西敦之、宇賀田 圭、足立一真、松田高志、田邊翔太
  人工呼吸器関連肺障害に伴う縦隔気腫に対する剣状突起下縦隔ドレナージの経験.
  日本呼吸器外科学会雑誌 38巻5号465-469, 2024

3. 三和 健、中西敦之、宮本竜弥
  自殺企図による頚部気管損傷の1例
  胸部外科 76巻8号661-664, 2023

4. Miwa K, Nakanishi A, Miyamoto T, Ohno T, Kidokoro Y, Haruki T, Nakamura H.
    Video-assisted thoracoscopic surgery using extracorporeal membrane oxygenation
      for intractable pneumothorax.
      Yonago Acta Medica 65:320-324, 2022

5. 三和 健、大野貴志、中村嘉伸、角 尚紀、宮本竜弥、春木朋広
  心膜パッチによる肺動脈幹形成と左肺全摘を施行した左肺動脈血管肉腫の1例.
  日本呼吸器外科学会雑誌 36巻4号478-483, 2022

6. 大野貴志、三和 健、窪内康晃
  分子標的薬治療および化学療法を施行後にサルベージ手術を行い,
      約10年の長期生存を得られているEGFR遺伝子変異陽性IV期肺腺癌の1例.
  日本呼吸器外科学会雑誌 36巻5号,504-510, 2022

7. 三和 健、宮本竜弥、北角泰人、大江崇史、串山義則、結城崇史
  胸腔ドレナージにより診断された食道破裂の1例.          
  日本呼吸器外科学会雑誌 35巻2号138-142, 2021

8. 三和 健、宮本竜弥、齋藤雄平、角 尚紀、中村廣繁
  重症筋無力症合併胸腺腫と重度僧帽弁閉鎖不全症に対する一期的合同手術.
  日本呼吸器外科学会雑誌 35巻7号791-794, 2021

9. 宮本竜弥、三和 健、窪内康晃
   中葉肺動脈と高度シャントを認める気管支動脈,下横隔動脈,内胸動脈の塞栓術後に
       右中葉切除を施行した気管支拡張症の1例.
   日本呼吸器外科学会雑誌 34巻4号212-216, 2020

スタッフ紹介

呼吸器外科部 部長

三和 健(みわ けん)

1999年 鳥取大学卒

<資格等>
呼吸器外科専門医
日本呼吸器外科学会 胸腔鏡安全技術認定医
外科専門医
日本外科学会認定医、指導医
医学博士
臨床研修指導医
国立大学法人鳥取大学医学部臨床教授
鳥取大学医学部付属病院連携診療准教授

<所属学会>
日本外科学会
日本胸部外科学会
日本呼吸器外科学会(評議員)
日本臨床外科学会
日本肺癌学会
日本内視鏡外科学会
 
<専門分野>
呼吸器外科全般
 

呼吸器外科部 医師

大野 貴志(おおの たかし)

2010年 鳥取大学卒

<資格等>
呼吸器外科専門医
外科専門医
医学博士
臨床研修指導医

<所属学会>
    日本外科学会
  日本呼吸器外科学会
  日本胸部外科学会
  日本内視鏡外科学会
  日本ロボット外科学会
    日本肺癌学会   等
   

 <専門分野>
 呼吸器外科
 

呼吸器外科部 医師

中村 廣繁(なかむら ひろしげ)

1984年 鳥取大学卒

<資格等>
呼吸器外科専門医
外科専門医
日本外科学会認定医 指導医
日本呼吸器外科学会 指導医
日本呼吸器外科学会 胸腔鏡安全技術認定医
日本呼吸器外科学会ロボット支援手術プロテクター
日本医師会認定産業医
医学博士
臨床研修指導医
鳥取大学名誉教授


<所属学会>
    日本外科学会
  日本呼吸器外科学会(評議員)
  日本胸部外科学会(評議員)
  日本内視鏡外科学会(評議員)
  日本ロボット外科学会
    日本肺癌学会(評議員)  等
   

 <専門分野>
 呼吸器外科全般、胸腔鏡手術、ロボット手術
 

”The Best Doctors in Japan 2024-2025"に選出されました。

呼吸器外科/低侵襲手術センター長 中村医師が ”The Best Doctors in Japan 2024-2025"に選出されました。

ベストドクターズとは、米国に本拠を置くベストドクターズ社が認定する名医の称号です。医師同士の相互評価に基づいて選出されており、正解各国で症状に応じた適切な治療やセカンドオピニオンの取得に役立てられています。現在世界で約53,000名、日本で約7,100名が認定されています。(2024年6月時点)

 【中村医師インタビュー誌面】 
 季刊誌「Best Doctors in Japan」67号 (ベストドクターズ公式サイト) 


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