脳神経内科
脳神経内科
脳神経内科について
脳神経内科は脳・脊髄・末梢神経・筋肉に関連するすべての疾患の診療をおこなっています。
脳神経内科で扱う主な疾患は以下の通りです。
- 脳血管障害
脳梗塞、一過性脳虚血発作、内頚動脈狭窄症、など - 神経変性疾患
パーキンソン病、運動ニューロン疾患(筋萎縮性側索硬化症)、脊髄小脳変性症、アルツハイマー病など - 免疫性神経疾患
重症筋無力症、多発性硬化症など - 炎症性疾患・感染症
髄膜炎、脳炎など - 末梢神経障害
糖尿病性末梢神経障害、ギラン・バレー症候群など - 機能性疾患
頭痛、てんかん、眼瞼けいれん、顔面けいれん、ジストニアなど
毎年約500名の神経内科入院患者のうち、約6割の300名近くが脳梗塞急性期の患者です。当院では急性期脳血管障害の 治療には力を入れており、24時間態勢で頭部CT・MRI検査を行って発症直後の脳梗塞の診断と治療に当たっております。発症4.5時間以内のt-PA静 注血栓溶解療法も積極的に行っております。また、発症早期からリハビリテーションに取り組み機能回復に力を入れております。近隣の回復期病院やかかりつけ 医の先生方と連携しながら在宅復帰を進めていきます。脳梗塞の原因となる内頚動脈狭窄に対しては頸動脈エコー・MRI・脳血流シンチ・血管造影検査などに よる詳細な検査を行い、脳神経外科と検討のうえステント留置術もすすめております。
脳梗塞以外ではパーキンソン病、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群などの診断や治療も積極的に行っております。外来では頭痛の診断・治療や認知症の診断も行っております。
せん妄・気分の変化・精神的な問題(うつ、神経症など)は精神神経科が専門としております。
•日本神経学会 教育研修施設
•日本脳卒中学会 認定研修教育病院
脳神経内科の病気を疑う症状は?
脳神経内科の病気の時には、以下のような症状があります。
- 手足がうまく動かない・麻痺する・力が入らない
- 歩くことができない・ふらついてあるきにくい
- 歩くときに足をひきずるようになった
- しゃべりにくい・食事の時にむせたり口からこぼれるようになった
- ものが二重に見える
- 手足がしびれる
- これらの症状とともにめまいがする
- 手足が勝手に動いてしまう・ふるえる・つっぱる
- 意識がなくなった
- 物忘れがでてきた
- 頭が痛い
これらの症状が見られたときには脳・脊髄・末梢神経・筋肉に関連する病気の可能性が考えられます。神経内科では、どこにどんな病気があるかを診断し治療を行います。また、診断によって関連するその他の科に紹介したり連携して治療を行います。例えば
- 頭の中の手術が必要 → 脳神経外科
- 骨や関節・脊髄の病気 → 整形外科
- 精神的な病気 → 精神神経科
- 耳からのめまい → 耳鼻咽喉科
などです。
脳血管障害
脳血管障害には大きく分けて次の3つがあります。
- 脳梗塞
脳の血管が詰まることで脳の組織が壊れる - 脳出血
脳の中に出血することで脳の組織が壊れる - くも膜下出血
多くは動脈瘤が破裂することで脳の外側に出血する
この中で最も多いのが脳梗塞であり、当院では脳神経内科で診断と治療を行っています。
急性期脳梗塞の治療は年々めざましく発展しており、様々な治療薬が開発されています。診断もCT・MRIやエコーを用いる ことで超急性時であっても正確に診断ができるようになってきています。脳梗塞は血管の狭窄や閉塞で血液の流れが悪くなることで組織が障害されるのですが、 発症後できるだけ早く治療することで後遺症をできるだけ少なくし、早く社会復帰することも期待できます。
2005年秋より脳梗塞超急性期に対する血栓溶解剤(静注用遺伝子組換えt-PA製剤)が認可されました。点滴で血栓を溶 かすことができる新しい薬剤ですが、できるだけ早く検査と診断を行い「発症4.5時間以内に投与開始」することとされています。この薬をはじめとして、脳梗塞に対する薬剤で効果的に治療し後遺症をできるだけ少なくするためには、
「いかに早く診断し、早く治療を開始するか」
がとても重要となっています。脳梗塞が疑われるときは一刻も早く受診することが大切です。
- 当院に入院される脳梗塞患者の発症から来院までの時間
- 約4割の方が発症3時間以内に来院されますが、1日以上経って受診される方も約1/4おられます
脳梗塞を疑う症状としては
- ぼーっとした感じでいつもと違う・なんとなく反応が鈍い
- まっすぐ歩けない・おはしや茶碗をうまくもてない
- 右側だけあるいは左側だけなど体半分について触った感じがいつもと違う、しびれた感じがする
- 会話がうまくできなくなった
- 何を話しているかよくわからない、全く話さない
- 右側ばかりを向いて左側に注意が向かない
- 熱もないのにいつもできていた身の回りのことが急にできなくなった
- 右目で見ても左目で見ても同じように部分的に見えにくいところが急に出てきた
- 急に片方の目が見えなくなった
- 突然・あるいは急に体の半分が動かしにくくなった
などがあります。
脳梗塞の時には様子を見たり1日待っている余裕はありません。一度症状が消えてもまた出てくることがあります。
パーキンソン病
•じっとしているときに片手がふるえるようになった
•表情が少なくなり、声が小さくなった
•何をするのにも動作がゆっくりになった
•歩くときに前かがみになってきた
頭痛
日本人の3~4人に1人は頭痛に悩まされていると言われます。人によってその程度は様々ですが、ひどい頭痛の時には何もすることができないほどつらいこともよくあります。しかし、「頭痛ぐらいで・・・」とつらいのを我慢しながら仕事をしたり、市販の鎮痛剤を多く飲んで何とかしのいでいる人も少なくないのが現状です。
頭痛に対しては一般の鎮痛剤以外に症状に応じた様々な予防薬や頓服薬が開発されています。特に片頭痛に対する治療では著しい効果がみられるようになっています。勝手な判断や市販薬の乱用はかえって頭痛をひどくしてなおりを悪くすることがあります(薬剤乱用性頭痛)ので、頭痛でお困りの方は一度ご相談下さい。
不随意運動(ふずいいうんどう)
自分の意志とは異なり勝手に体の一部が動いてしまうことを不随意運動と言います。症状は、手がふるえる、体がぴくぴくする、ねじれる、などさまざまです。
これらの中でも、まぶたや顔面がぴくぴくしたり引きつったようになる眼瞼痙攣(がんけんけいれん)・顔面痙攣(がんめんけいれん)、また首がねじれて突っ張ったようになる痙性斜頚(けいせいしゃけい)に対しては内服療法に加えてボツリヌス療法がきわめて効果を上げています。
当科外来では原因となる病気についての検査とともにこれらの治療も行っています。
認知症
普段の生活の中で「忘れっぽくなった」と感じる方は多いと思います。「ついうっかり」や「ど忘れ」ぐらいは忙しい生活の中で経験することは多いのですが、その回数がふえてくる、仕事や普段の生活に支障が出てくるようになると要注意です。忘れていることを教えてあげても全然思い出せないようであれば認知症が疑われます。
認知症はそれまでできていたことがだんだんできなくなり、日常生活に支障が見られるようになってきた状態を指します。認知症の原因や症状はさまざまです。内分泌の病気やうつなどの精神疾患でも認知症のように見えることがあります。また脳梗塞などの影響で認知症の症状が出現することがあります。
当科では認知症の診断・検査も行っておりますので、心配な方は受診してください。その際、普段の生活の様子など家族から見た情報も必要ですので、普段一緒に生活しているご家族と一緒に受診してください。また現在内服しているお薬の情報(おくすり手帳など)もお持ち下さい。いつ頃からどんな症状が出てきたかまとめてメモしてきていただくとお話しをうかがう際に役立ちます。
患者さまへ
脳神経内科では意識障害や脳梗塞、脳炎などの急性期の患者からリハビリをがんばっている回復期の患者、難病で療養が必要な慢性期の患者など幅広く診察させていただいております。 神経内科医は4名いますが、そのうち神経学会の脳神経内科専門医が2名おります。スタッフ全員で協力し、看護師やリハビリスタッフとも頻回にカンファレンスを行い治療方針を検討しています。また、他科とも連携しながら診療に当たっております。
ご不明な点がございましたら、松江赤十字病院脳神経内科宛にメールにてご相談ください。
松江赤十字病院脳神経内科メール : neurology.matsue.JRC@gmail.com
スタッフ紹介
脳神経内科部 部長
1994年 鳥取大学卒
医学博士
日本神経学会認定神経内科専門医、指導医、代議員
日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科専門医、臨床医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
鳥取大学臨床准教授
臨床研修指導医
ICLS認定インストラクター・ディレクター
ISLSコース認定インストラクター
<所属学会>
日本神経学会
日本内科学会
日本脳卒中学会
日本リハビリテーション医学会
日本神経治療学会
日本神経心理学会
日本認知症学会
日本頸部脳血管治療学会
日本東洋医学会
脳神経内科部 副部長
2001年 鳥取大学卒
医学博士
日本内科学会認定総合内科専門医
日本神経学会認定神経内科専門医、指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
<所属学会>
日本神経学会
日本内科学会
日本脳卒中学会
脳神経内科部 医師
2012年 鳥取大学卒
日本内科学会
脳神経内科部 医師
2019年 島根大学卒